大島紬について、少しだけご紹介します。
奄美大島は九州・鹿児島から南西380㎞にある、亜熱帯性気候の自然の豊かな島。
大島紬は、この島で1300年以上の歴史を持つと言われる絹織物です。
柳宗悦の著作『手仕事の日本』中でも、「九州の特筆すべき織物」として紹介されています。
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大島紬の特徴は、染めと織り。
独特の渋い色合いは、「泥染め」によるものです。
絹糸をテーチ木(車輪梅)から取った染料で染めたあと、泥田に浸して染めるという工程を何度も繰り返すことで、泥に含まれる鉄分とテーチ木のタンニンが反応し、真っ白の絹糸は、化学染料では出すことのできない深く自然な黒褐色に染め上げられます。
泥で染める…というと不思議な感じがしますが、奄美大島の泥の粒子は非常に細かくて粒が丸いため、染めると同時に絹糸をしなやかにする効果もあるのだそうです。
もうひとつの特徴は「絣締め(かすりじめ)」。
大島紬だけに見られる製法で、絹糸を染める前に、一度、木綿の糸で織ってゆきます。
こうすることで絹糸は一本ずつ、木綿の糸によって防染された部分・泥染めされた部分に染め分けられます。
染められた絹糸は、文様の設計図に従って織られて、布となります。
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…と、非常に簡単に書いてしまいましたが、一反の布を織るのはもちろん簡単なことではありません。
完成には数カ月かかることはもちろん、すべての工程は手作業であり、職人の手仕事です。
ここ数十年で、着物をとりまく環境には大きな変化がありました。
日本人の着物離れによって、大島紬の生産量も大幅に減少しているといいます。
奄美大島の織元「はじめ商事」の元 允謙さんも、現状に危機感を抱いています。
『大島紬を次の世に受け継いでいくためには、職人たちに代わりの仕事を与えるだけでは足りない。今ある道具を使い、技術を活かしてできる仕事がなければ、1300年の時と奄美の人々が育んだ大島紬は消え去ってしまいます。』
「はじめ商事」では、大島紬を次の世代に繋げてゆくための、あたらしい試みを行っています。
そのひとつが、着られなくなってしまった大島紬を裂き織りという技法で生まれ変わらせた<奄美裂き織り>です。
今回のフェアでは、大島紬の糸と異素材を組み合わせ、大島紬の高機を使用し、大島紬の職人によって織られた、まったく新しい<奄美裂き織り>をご紹介します。
今回、代官山 蔦屋書店は「あるもの」を使って、はじめ商事の職人の皆様に、フェアのためのオリジナルの布を織っていただきました。
それは「雑誌」です。
読まれなくなった洋雑誌を使って、2種類の布を織っていただきました。
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黒い方は、「経糸(たていと)」に大島紬の絹糸を、「経糸(よこいと)」に雑誌を糸のように細く裂いて、織りこんだもの。
白い方は、経糸に「絣締め」の木綿の糸を使用しています。
熟練の職人の手にかかれば、紙も糸のように織ることができるのです!
これには純粋に驚いてしまいました。
奄美大島に雑誌を送ってから1ヶ月後、書店に届いたのは、見たことのない、でも間違いなく大島紬の職人による布でした。
世界初の布ですから、名前がありません。今回のフェアを企画した三者の名前をとって、「AMATSUBU」という名前をつけました。
この布は、いわばプロトタイプです。
伝統の素材と雑誌という全く異なる組み合わせが、次はどんな風に繋がってゆくかはまだ未知数ですが、「AMATSUBU」とこのフェアを通して、書店から、日本伝統工芸の未来に対する産地の取り組み、そのひとつの形をご紹介できることを、とても嬉しく思います。
店頭では、「AMATSUBU」の展示、「AMATSUBU」を使用した、世界でここだけのオリジナル商品の販売を行っています。
商品はブックカバー、カードケース、クラッチバッグの3種類です。
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写真は木綿糸の「AMATSUBU」ブックカバー。
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こちらはクラッチバッグ。外側に<奄美裂き織り>布を、内側に「AMATSUBU」を使用しています。
羽織の「裏勝り」のように、ふたを開けると、チラリと「AMATSUBU」が覗いて見えます。
(使用している雑誌のページによって柄はすべて違いますので、ご了承ください。)
フェアは4月5日までの予定です。ぜひ、実際に手にとってご覧ください!
こちらの商品は、オンラインストアでもご購入が可能です。
オンラインストアはこちら
1号館1階 人文 岩瀬 佳乃子
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