ベースになるプロダクトは「VICTORINOX TOMO」。創業以来、ほぼ不変のデザインを守り続けていたビクトリノックスが、2011年に日本発の新しいデザインを採用して話題になったものです。手掛けたのは、ABITAXの山口和馬氏。馴染みのあるビクトリノックスとは違う、スクエアーな形はミニマムで、グラフィカル。その「VICTORINOX TOMO」の2015年のコラボレーションに抜擢されたのが、小林弘和氏と山田春奈氏によるクリエイティブユニット、SPREAD(※)です。
PHOTO/Ooki Jingu |
「VICTORINOX TOMO EARTH COLLECTION 2015」(\3,600/税別)のカラーバリエーションは、全部で6パターン。「RIVER」「RAIN」「SEA」「THUNDER」「HORIZON」「PLANT」。
いずれも大自然の表情が、鮮やかな色面で表現されています。
ツールの内容は、ブレード(小型ナイフ)、はさみ、爪やすり、ネイルクリーナー、キーリングの5種。日常生活や旅で使用するのであれば、必要充分な機能ではないでしょうか。
小林弘和氏と山田春奈氏は、このミニマムな「VICTORINOX TOMO」で紙を切り抜き、今回のデザインを制作されました。フェアではその原画も展示しています。
「川は大地を刻む線となり、雨や雷は大気を貫く線を、木々は命をかたどる線を描きます。その雄大な自然のなかで私たちの祖先は、“石のナイフ”である石器をつくり出し、岩や木を削って独自の線を描いたことでしょう。彼らが石のナイフを手に新たな生活を切り拓き、洞窟の壁を刻んでイマジネーションあふれる壁画を描いたように、私たちも『VICTORINOX TOMO』を手に、創造性の原点を追求しようと考えました」と語る、SPREADのお二人。
今回のフェアでは、それぞれのテーマに合った選書もして頂きました。店内を5時間かけて選んで頂いた本や雑誌は、バリエーションに富んでいて、アーチストとして活躍されているお二人の頭の中を覘いている様な楽しさがあります。
コンクリートの塊とアクリルの組み合わせが美しい展示にも是非注目してください。
フェアは、3月20日(金)まで。(好評につき延長となりました!)
硝子窓の向こうにある木漏れ日が降り注ぎ、企画の内容にぴったりのフェアとなっています。
光のきれいな午前中にいらして頂くのがおススメです。
デザイン・コンシェルジュ 籔田千晴
(※)SPREAD
小林弘和氏と山田春奈氏によるクリエイティブユニットとして、2004年に設立。音楽のアルバムジャケットや広告をはじめとするグラフィックデザイン、阪神・淡路大震災の教訓を受け継ぐプロジェクトなどを手がける一方、生活の記録をストライプ模様で表現するアートワーク「Life Stripe」を国内外で展開。
イタリア・ミラノサローネにて3年連続の作品発表を行い、2014年にはスイス・バーゼルの「RappazMuseum」より招待を受けて展覧会を開催しました。スイスのクリエイターたちとの親交も深く、同国を代表するデザインスタジオ「アトリエ・オイ」とともに「ビクトリノックスの130年―スイスの機能美―」展(2014年、Bunkamuraギャラリー)のグラフィックデザインを手がけています。
SPREADオフィシャルサイト
http://www.spread-web.jp/
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