代官山 蔦屋書店 オフィシャルブログ
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万年筆のお掃除について

2014年10月15日16:29
本日は万年筆のクリーニングについて書かせていただきます。
 

季節の変わり目は便りを書く機会が多く、特に年末は年賀状の準備もあって万年筆の出番と言う方も多いのではないでしょうか。
そんな万年筆の出番が増える年末ですが、実は修理の依頼が一番多い季節でもあります。
理由は年末に使用して、そのまま次の年末まで放置して気付いた時にはインクがドライアップ(乾燥)して書けなくなってしまう、こんなパターンが非常に多いそうです。
こうなってしまうと、ご家庭で行える洗浄ではどうしても限界があり、運よく書けるようになっても何だか書き味がイマイチで結果メーカーで分解洗浄でのオーバーホールに。



そんなドライアップ対策は2つあります。


その1、定期的に使っていく。

乾燥する前にインクを使い切っていけば当然ながらドライアップとは無縁になります、そしてインクの通り道は循環によってある程度の綺麗さを保つことが出来ます。
理想は毎日使ってインク補充3回に1回(1~2ヶ月に一度)のタイミングで水洗いをする、この形をお勧めさせて頂きます。
毎日書く事が無い方は名前や日付を書いてみたり、少なくとも1週間に一度は書く機会を作れたらと思います。



その2、使い終わったらインクを抜いて洗浄をしてから片す。

書道の筆の様に使い終わったら洗って片づける方法で、出番を終えたら洗ってインクの入っていない状態にしてからしまう、これが使用頻度の少ない方にお勧めしている万年筆の使い方です。

最近は国産メーカーでドライアップ対策を施したモデルも出ていたりしますが、基本は洗浄などのメンテナンスをしながら使うのが万年筆です。
なんだか面倒くさそうに聞こえますが、使っていくと愛着も湧いてメンテナンスも楽しみになっていくかなと思います、ちなみに私がまさにそうでした。

ではそろそろ本題に入って今回はご家庭で出来る万年筆の洗浄方法を紹介させていただきます。



用意するもの

万年筆のペン先が入るサイズのコップ ティッシュもしくは繊維の飛び難い布(サラシなど)
以上です、コップはインクの色がつかないガラス製の物が後片付けも簡単です。


クリーニングの手順

1 インクを抜く
インクが残っている場合はティッシュに全部吸わせるなどして空にする。


2 水を循環させる
吸入式、コンバーターがある場合はガラスに水を張り出し入れする、
ペン先から出る水が薄くなるまで繰り返す、水が汚れてきたら交換する。


カートリッジのみの場合は弱めにした流水をあててインクを流し出す。

この段階で簡単なクリーニングは完了です、もっと綺麗に
したいという方はこの後の3・4の項目も行って下さい。


3 コップに水を張りペン先を浸ける
1~2時間程で十分に綺麗になりますが気になる方は
一晩置くとより綺麗になります。
吸入式の場合、ペン先だけが浸かるように水量を調整
ボディ部分も浸けてしまうと不調の原因になります。


4 水を循環させる

手順2と同じ要領で出し入れする


5 布もしくはティッシュで水気を拭き取る
 
 
拭いて水気を取ります、終わったら組み立てる前にしばらく乾燥させる

これにて完了です、これしないの?なんて事もあるかも知れませんが今回は分かりやすさと簡単さを重視しています。
また、ずぼら式なら1、3、4、5だけでも十分綺麗にできます、負担に感じてサボるくらいならどんどん簡単にしてしまってOKだと私は思います。


以上が自分で出来るコンディションを保つメンテナンスです.
しかしどんなに良い状態を保つようにしても年単位の長い目で見ていくと、ゆっくりと書き味やインクフローがどうしても悪くなっていきます。
そんな時は餅は餅屋、万年筆のプロの手でオーバーホールを施してもらいましょう。
大切に扱い、定期的にメンテナンスを施せば、名前通り長い年月を共に出来るのが万年筆です。



メンテナンスをしても例えば字幅をもう少し細くしたい、インクの出が良過ぎるのでもう少し絞りたいなんて悩みもあると思います。
普段はメーカーでの調整修理に出して帰ってくるのを待つのですが、目の前で相談しながら貴方の筆記角度や書き方を見て、その場で調整のプロ、ペンドクターが施術してくれるイベントが今回当店でも行う事が決まりました。

日程
10月17・18日 パイロットコーポレーション協力
ペンドクター 佐原伸江氏
詳しい内容はこちら

11月8日 輸入筆記具を取り扱う卸売企業 ダイヤモンド株式会社協力
ペンドクター 仲谷佳登氏

詳しい内容はこちら

合計3日間開催いたします。

事前のご予約もお受けしておりますのでご希望の方はお早めにご連絡をお願い致します。

お問い合わせは代官山 蔦屋書店・文具カウンター<TEL:03-3770-2525>まで
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 文具コンシェルジュ 板倉 賢人

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