代官山 蔦屋書店 オフィシャルブログ
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ヴィンテージフォークアートの魅力

2015年5月14日15:16
「フォークアート」とは、国や地域に根差した文化の中で代々受け継がれてきた芸術様式で、民衆や労働者によって生み出されるアートを差します。
アカデミックなファインアートに対し、人々の生活の中から生み出される手作りならではのあたたかみのある表現が特徴です。





今回ご紹介するのは、昨今のフォークアートブームの中でも特に注目されているメキシコのフォークアート。
全て60年代~70年代に作られたヴィンテージ品です。

わたしがフォークアートに興味を持つきっかけとなったのは、メキシコの女性画家フリーダ・カーロ氏がきっかけでした。
幼いころから病気やけがなどに襲われ、波乱万丈な人生を送った彼女ですが、メキシコの画家ディエゴ・リベラ氏とのパートナーシップから生まれる女性らしい感情や、人生のあらゆる出来事の中で自己を見つめ続ける視点など、時代や国を超えて普遍的な魅力を伝える作品を多く残しています。


その彼女がリベラ氏と暮らしていた家が、メキシコシティ南部コヨアカン地区にあるのですが、通称「青い家」と呼ばれるその場所には、フォークアートがたくさんコレクションされていました。
そのコレクションをまとめた本がこちら。









LA COLECCION DE ARTE POPULAR DEL MUSEO ESTUDIO DIEGO RIVERA Y FRIDA KAHLO
【フリーダカーロとディエゴリベラのフォークアートコレクション】


骸骨・植物・動物など原始的なエネルギーを感じさせるプリミティブな印象の品々。
メキシコの文化を伝える貴重な資料でもあります。

ハンガリー系ユダヤ人の父親と、スペイン人とインディオの混血である母親を持つフリーダ氏は、メキシコの伝統衣装を身につけるなど常に伝統的なメキシコの文化と血を強く意識していました。

フォークアートは彼女のアイデンティティを確かめるものであり、またそれらの持つ土着的なエネルギーによって実生活での精神的・身体的傷みを癒していたのかもしれません。


書籍の表紙に掲載されている「生命の木(Tree of Life)」は、メキシコ民芸のアイコンのような存在。
特にマルティネス家・フローレス家など、民芸でありながら作家性があり評価の高い作品は海外でも高額で取引されているそうです。
中には博物館に所蔵されるほど価値の高いものも…


そのTree of Lifeの実物を、期間限定でご覧いただけます。



Tree of Life (70年代 メテペック地方)


Tree of Life (70年代 メテペック地方 カスティリオ家



キリスト教の禁断の果実のストーリーを、メキシコの人々の解釈で表現したものだそう。
鮮やかな色彩や動物や人の素朴な表現からは、自然な生命賛歌が感じられます。
キャンドルホルダーになっているものが多く、昔は女性が結婚する時に嫁入り道具として持っていく習慣があったようです。










他にも、鮮やかなピンク色が印象的な人魚の置物や、トナラと呼ばれる動物をかたどった陶器、種植動物という溝に植物の種を植えることのできる素焼きの動物の置物など、メキシコの文化や空気を感じることのできる作品が揃います。



このようなフォークアートと呼ばれる民芸品が、最近特にクリエイターの方に人気が高く、インテリアとして生活の中に取り入れる人が増えています。雑誌などでも多く見かけるようになってきました。


サンタフェには世界中のフォークアートを集めたミュージアムがあるのですが、そこにはミッドセンチュリーを代表するデザイナー、アレキサンダー・ジラード氏のコレクションが収蔵されています。
その数なんと10万点以上。彼もフォークアートの魅力にはまった一人でした。


そのミュージアムカタログがこちら。

Multiple visions 【フォークアートミュージアムの図録】





フォークアートはそれぞれの国の文化や歴史を伝えてくれるものですが、古いものをただ眺めて懐かしむのではなく、生活の中に取り入れることで新しいライフスタイルとなり、またそこに価値が生まれるのではないでしょうか。

たくさんの人の心をとらえるフォークアートに触れる貴重な機会です。
5月いっぱいまで2号館1階アートコーナーで展開しております。
(予定は変更することがあります)
この機会にぜひ実物をご覧ください。



アートコンシェルジュ 森田ゆう奈


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