代官山 蔦屋書店 オフィシャルブログ
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ライカで撮影された写真集とライカ100周年記念出版『Eyes Wide Open』

2015年7月25日10:19
 ライカは、小型軽量で携帯性、機動性に優れた革命的な「ウル・ライカ」が発明されてから、2014年に100周年を迎えました。その記念企画として、この100年間に世界各地でライカで撮影された写真・写真集・写真専門誌からセレクションした記念すべき書籍『Eyes Wide Open』が刊行されました。


ライカで撮影された写真と写真集が、世界規模でこれほどおおがかりに纏められた書籍は初めてとなります。
写真文化の歴史の中で、なぜライカが多くの写真家に選ばれ、写真家の世界の認識の変化、その文化的背景を織り交ぜながら紹介した極めて貴重な写真資料になっています。



ライカが写真界に起こした革命。それは人間の「視覚」と「感性」の革命でした。
「都市」や「世界」への新たな視覚的アクセス、もう一つのヴィジョン。それこそライカがもたらしたものでした。



ライカで撮られた写真集や写真家といえば、アンリ・カルティエ=ブレッソン氏や「ライカの神様」と呼ばれた木村伊兵衛氏があまりにも有名ですが、世界的にもよく知られている写真や写真集がじつはライカで撮られていたケースが沢山あります。



20世紀を代表する写真家アンリ・カルティエ=ブレッソン、ロバート・キャパらと共に写真家集団マグナム・フォトを創設する以前の1930年初期からカルティエ=ブレッソンは長年50mmレンズ付きのライカ・レンジファインダーを愛用し続けています。



戦前戦後の日本を代表する写真家のひとり木村伊兵衛氏は、「ライカの神様」と呼ばれていました。1930年代の月刊写真雑誌「光画」で発表した傑作スナップ写真やポートレイトは、小型カメラのライカの特性を生かしきっています。

この大判の書籍『Eyes Wide Open』には、ライカを愛機としてきた世界の代表的写真家がおよそ140名選ばれています。
たとえば1925年の発売初期からその革命性に着目したパウル・ヴォルフ氏、A.ロトチェンコ氏、モホリ=ナジ氏、アンドレ・ケルテス氏、カルティ=ブレッソン氏とマグナムを創立したロバート・キャパ氏ら。


Leica Photobook - ヴィンテージ
『The Europeans』アンリ・カルティエ = ブレッソン 1955 First Edition 初版

世紀の写真集『決定的瞬間』と同様、革命的小型カメラ・ライカの35mmレンジファインダーを「眼の延長」として使い込んだカルティエ = ブレッソンの代表的作品集の1冊。ヨーロッパ人とは誰か、何を意味するのかを問いかけた写真集。1998年に40年余ぶりに、1970年初頭まで時代を拡張し、新たな写真も加えて同名の作品集が刊行されました。

また現代の写真と写真集の起点となり、世界の写真界に大きな影響を与えることになったロバート・フランク氏の『The Americans』(1958)とウィリアム・クライン氏の『New York』(1956)も、ともにライカで撮影されています。
写真で新たな表現を探求していた写真家たちの選択が、コンパクトで機動力があり優れた操作性をもつライカだったことは必然性と理由がありました。


Leica Photobook
『The Americans』ロバート・フランク 1959

世界の写真集史のなかでも極めて重要な位置にあり、荒木経惟ら後世の写真家たちに大きな影響を与えたロバート・フランクの記念碑的写真集。
ロードトリップで撮影された2万8000ショットはライカで撮影され、そのうち83枚が本作品集に厳選されています。


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『Retrospective』ウィリアム・クライン 2005

20世紀写真の表現史に大きな影響を与え、写真史に燦然と輝くウィリアム・クラインの『New York』もまたライカで撮られている。ニューヨークの群衆の中に入り込み撮影するには機動力のある小型カメラ・ライカこそが威力を発揮しました。


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『Love on the Left Bank』エド・ヴァン・デル・エルスケン 1958

1950年代パリのセーヌ左岸サン・ジェルマン・デ・プレ界隈をたむろする若者たちを撮影したエルスケン。本作品集の表紙や、あまりにも有名な写真「セーヌ左岸の恋」に登場する印象的な女性ヴァリ・マイヤーズを撮ったのもライカでした。


ブルックリン・ギャングたちを撮っていたブルース・デヴッドソン氏や写真集『Women are Beatiful』のスナップショットの達人ゲイリー・ウィノグランド氏もまたライカを継ぐ者たちでした。
ヨーロッパにおいてもエド・ヴァン・デル・エルスケン氏がサンジェルマン・デプレの若者たちを、アンドレ・ケルテス氏やロベール・ドアノー氏もまたライカでストリートをスナップしています。カフェや路上という「日常」のなかにこそ、あらたに気づき、発見するべきものがありました。地球の裏側のようなもう一つの日常をドキュメントしていたセバスチャン・サルガド氏もライカで始めています。


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『On Reading』アンドレ・ケルテス 

ライカ市販1号機ライカI(A)が発表された僅か3年後の1928年に小型軽量のライカがなしえる動きとスピードのヴィジョンを感じ取った写真家こそケルテスでした。ブレッソンよりも3年早くライカに開眼しています。20、30年代のパリのスナップの名作がライカから次々に誕生していきました。



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『Subway』ブルース・デヴィッドソン 2011

ブルース・デヴィッドソンの代表作の1冊。マンハッタンからブルックリンへ向かうサブウェイのなかで撮影されたがコンパクトで速写性に優れ、シンプルで使いがってがよいライカだったからこそ生まれた写真集である。初版は1986年



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『Garry Winogrand』ゲイリー・ウィノグランド 2013

20世紀を代表するストリートスナッパーの一人ゲイリー・ウィノグランドは、代表的写真集『Women are Beatiiful』を含め、その多くをライカで撮影しています。ライカに広角レンズをつけた撮影スタイルは彼独自のものです。


ニューカラー写真を代表するウィリアム・エグルストン氏やジョエル・メイロウィッツ氏もまたストリートのスナップではライカを愛用しています。ファッション写真のイノベーターの一人マーク・ボスウィック氏やパオロ・ロヴェルシ氏もまた忘れるわけにはいきません。



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『William Eggleston’s Guide』ウィリアム・エグルストン 2002

ニューカラー写真を代表する写真家エグルストンの代表作にして、カラーフォトの色による表現の魅力とアート性を決定づけた写真集もまたライカで撮影されました。路上や町に溢れる色を撮るため小型で操作性の良いライカはうってつけでした。


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 『Park City』ルイス・ボルツ 1980

2014年末に惜しくも死去した米国の写真家ルイス・ボルツの代表作。人間の影響によって変わりゆく風景や自然を撮り、建築から工場などのミニマリスティツクな風景写真は、写真の概念を拡張した。本作品集はライカで撮影されています。

『Eyes Wide Open』で紹介されたフォトグラファーの他にも、ファッション写真に影響を与えたマーティン・ムンカッチ氏、早くから小型軽量カメラの可能性を認識していたウォーカー・エバンス氏、ベン・シャーン氏、森村泰昌氏に写真を教えたアーネスト・サトウ氏、初期の市民運動を撮ったダニー・ライアン氏、ユースカルチャーに多大な影響を与えたラリー・クラーク氏(『Tulsa』はLeicaで撮影)、キャパとともに生きたゲルダ・タロー氏、チリの著名な写真家セルシオ・ラレイン氏、またセバスチャン・サルガド氏(『Workers』はLeicaで撮影)、アレック・ソス氏、映画よりも早く写真に目覚めていたヴィム・ヴェンダース氏(LeicaM8の世界CMに起用された)、スケート・ボーダーでもあるエド・テンプルトン氏、写真集『I,Tokyo』で知られるデンマーク人のヤコブ・ソボル氏らも著名なライカ使いの名手たちです。

そしてライカを愛機とした日本人の写真家たち。 書籍『Eyes Wide Open』には、日本からは、「ライカの神様」と呼ばれた木村伊兵衛氏や土門拳氏、濱谷浩氏、そして桑原甲子雄氏、荒木経惟氏、高梨豊氏、トミオ・セイケ氏、田原桂一氏、ハービー・山口氏らの写真や写真集が選定されています。

またライカを愛機として使用する日本の写真家は記憶に残るところでもつぎの方達の名前もあげられるでしょう。笹本恒子氏、石元泰博氏、沢田教一氏、小島一郎氏、久保田博二氏、岡村昭彦氏、田村彰英氏、岡本太郎氏(縄文や沖縄各地を撮りました)、北井一夫氏、赤瀬川原平氏、田中長徳氏、岩合光昭氏、操上和美氏、上田義彦氏(フランク・ロイド・ライト邸をライカで撮影)、ホンマ・タカシ氏、高橋恭司氏、平間至氏、レスリー・キ―氏、大森克己氏、若木信吾氏、瀧本幹也氏、武田陽介氏たちです。



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『HOPE 311 陽、また昇る』 ハービー・山口 2012

311東日本大震災のボランティア活動で幾度も被災地を訪れていたハービー・山口氏が、ガレキのなか明日を信じ、希望を胸に生きる人々の姿に感銘を受けてできあがった写真集。「ライカ」誕生100周年を記念する写真集では、この時の写真から2点が選定され掲載された。フィルムのM3、M6、デジタルM8などライカの名手


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『Zoe』トミオ・セイケ 1994

 ライカ100周年記念企画出版『Eyes Wide Open』でもライカの名手の一人に選定されヨーロッパで高い人気を誇るトミオ・セイケ。ハイクオリティの銀塩写真のほぼ全てがライカで撮影。
本写真集は1980年代に取り組んだシリーズ。今年72歳



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『Walking with Leica』北井一夫 2009

写真集『村へ』や『三里塚』『抵抗』などで世界的に知られる北井一夫氏。北井氏は第一回木村伊兵衛章受賞で賞品で手にしたライカM5からライカ歴がはじまる。M3、M4を購入後もライカM5とエルマーレンズを継続使用しています



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『津軽』小島一郎 

1950年代後半、津軽北国の厳しい自然の写真群で注目された小島一郎氏。その造形感覚と詩情あふれる写真群を生み出したのはライカでした。小島写真店で小島一郎氏から教えを受けた戦場写真家・沢田教一氏もライカM2、M3を愛用




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『雪国』 濱谷浩 1956 カメラ毎日別冊 
    
東京生まれの濱谷浩氏は、雪国の習俗とその風土に生きる人々の撮影をライフワークにしました。祭事や雪の中での撮影には、頑丈で手軽に持ち運べる小型カメラ・ライカが用いら
れています。1940年代、新潟・高田市で撮影


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『植田正治のつくりかた』植田正治 


日本の写真の感性を超越するシュールな「砂丘シリーズ」で知られる植田正治は戦後初期の作品はライカとローライで知られますが、ライカを<珠玉なカメラ>と語りライカ IIIcなど一時5台所有。名作「ボクと私のお母さん」はライカで撮影。晩年、M3も使用しています


当店では、ヴィンテージも含めまして、ライカで撮影された多くの写真集をご用意しております。ぜひ新しい「発見」をして頂ければと思います。ぜひ素敵なライカ写真集を見つけてみて下さい。


代官山 蔦屋書店 アート・コンシェルジェ 加藤正樹

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