代官山 蔦屋書店 オフィシャルブログ
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代官山 蔦屋書店 プレミアム アート コレクション -Premium Art Collection at Tsutaya Books

2018年8月27日17:45


代官山 蔦屋書店では、オフィシャルウェブサイトにおいて、世界的にも知られる3名の写真家、森山大道氏、ハービー・山口氏、植田正治氏(植田氏はコロタイププリントのみ)のプリントを「プレミアム・アート・コレクション」として取り扱いを開始しました。
 http://real.tsite.jp/daikanyama/premiam-art-collection.html

第一回目として、ハービー・山口氏のプリントをご案内致します。



【写真の特徴】

ハービー・山口氏は、現代の日本写真界において、コンセプチャル・フォトなどいわゆるアート系フォトグラファーや、コマーシャル・フォトグラファーらとは異なるインディペンデントにして唯一無二の写真家です。海外でもロンドンやパリを中心に、中国や香港、台湾などアジア圏でその写真スタイルは広く知られています。国内でもとくに東日本震災以降、モノクロームのナチュラルで慈しみに溢れ、人間への共感力に優れたポートレイトに一段と注目が集まりだしています。1970年代より半世紀近く作風がぶれず撮影、制作しつづけるその姿勢と作品クオリティは、今や多くのファンを惹きつけてやみません。


自身のブログの文章が纏められた著書『良い写真とは - 撮る人が心に刻む108のことば』には次の言葉があります。「疲れ弱った心に一条の光を与え、生きてみようとい思わせてくれる写真」「クラシックなのにアヴァンギャルドに見えたり、またアヴァンギャルドなのにクラシックに見えたりする写真」が良い写真ではないだろうか。また「ある写真を見た時、自分の原点が解る、または自分の原点に戻れる写真」とも語ります。これはハービー写真の特徴であるだけでなく、時代と流行を越えた世界の一級の写真に共通する素晴らしい写真の特徴といえるものではないでしょうか。

使用カメラは現在おもにライカで、ライカ誕生100周年を記念しヨーロッパを巡回した「100 Years of Leica Photography展」(洋書『Eyes Wide Open』2015 収録)に、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ロバート・フランク、アンドレ・ケルテス、ウィリアム・エグルストン、エド・ヴァン・デル・エルスケン、木村伊兵衛、荒木経惟、高梨豊、田原桂一各氏らとともに世界のライカの名手として選出されています。
写真集『Eyes Wide Open - 100 Years of Leica Photography』 2015 

【写真 / プリントの価値】


ハービー・山口氏のプリントは、版を重ねる人気を誇る写真集と異なり、国内外での写真展覧会会場や東京のブリッツ・インターナショナルをのぞいて直接見る機会はかなり限られています。プリントはゼラチン・シルバー・プリントでおもにバライタ紙が使用されています。モノクロームのグレーの諧調がなめらかで全体がやわらかいトーンでありながら心に刻み込まれるのは被写体との独特な関係と距離感を瞬時につくりだすことができるためといえるでしょう。
作家の考えで基本多くがエディション・フリーとなっていますが、ひとつには写真集と同様、なるべく購入し易い価格帯で、購入者が日々、写真にふれるなかで、人生をポジティブに生きてみようと少しでも思いいたってくれればとの思いから。エディションを切った場合、作品に稀少性が高まると同時に価格は高額になり作品は限られた人にしか届かなくなるのが現状です。


今回セレクトした作品はどれも、20年、30年という時代や流行を越えて人々の心のなかに残ってきた写真です。「流行や時代の流れを越えて長く残っていく写真」は、ハービー氏の語るまさに「良い写真」の定義の一つ。

代官山プレミアム・アート・コレクションでの4種類のサイズのプリントは、現在のハービー人気と高評価からしても、ご購入しやすい価格でのご提供となります。額装は、ハービー氏自身これまでの展覧会やプリント販売では一度も利用していない奥行き感のある「浮かし額」を採用。時代を超越するハービー氏の写真世界をたっぷりと堪能できる高級感溢れる綺麗な額付きプリントです。


【プロフィール】

ハービー・山口
1950年、東京都出まれ。中学2年のとき写真部に入部、幼少期から脊椎カリエスを患っていたが写真を撮ることでから生きる希望があることに気づく。高校・大学と写真部に所属。20歳の時、自身は何を撮りつづけるべきかエピファニー(啓示)をえ、写真集『1970年、二十歳の憧憬』(2010)に掲載された写真にみられるように、慈しみややさしさ、人間への共感、ポジティブになれる写真を撮りだす。
すべての就職試験に落ち、23歳の時に渡英。10年間の滞在中、初期には日本の前衛劇団で役者として出演、パンクロックやニューウェーブのムーブメントに遭遇し、価値観を覆される出来事を無数体験。まだ無名のボーイ・ジョージらとルームシェアや友人たちの家で居候をしつづけ極貧のなか写真を撮りつづける。
帰国後、BOØWY、桑田佳祐、福山雅治、THE MODS、エレファントカシマシら数多くのミュージシャンとのCDジャケットを手がけ、布袋寅泰のアルバム『ギタリズム』では作詞家として参加。長くラジオDJでもあり、映画「東京シャッターガール」(2013)には役者として出演。最近では英国ロイヤルバレエ団の異端のプリンシパル、セルゲイ・ポルーニンの写真集(2017)やロンドン時代に撮影した写真をまとめた『That’s PUNK』(2017)、『Layeredレイヤード』(2018)、『TIMELESS IN LUXEMBOURG 1999-2017』(2018)など出版、展覧会がつづく。




文・加藤正樹 2号館Art/ Vintage コンシェルジュ

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