代官山 蔦屋書店 オフィシャルブログ
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代官山 蔦屋書店 プレミアム アート コレクション ② -Premium Art Collection at Tsutaya Book

2018年10月3日10:42
代官山 蔦屋書店では、オフィシャルウェブサイトにおいて、世界的にも知られる3名の写真家、森山大道氏、ハービー・山口氏、植田正治氏(植田氏は現在コロタイププリントのみ)のプリントを「プレミアム・アート・コレクション」として取り扱いを開始しました。 http://real.tsite.jp/daikanyama/premiam-art-collection.html

第2回目は、森山大道氏のプリントをご案内致します。




【森山大道: コレクション写真の特徴】

代官山プレミアム・アート・コレクションの森山大道作品は、数多くの森山大道作品の中から、「Another Country :1971 New York」「狩人」「Pretty Woman」の3つの作品を中心にセレクションしています
「Another Country :1971 New York」は、森山大道氏が第2号から参加した「PROVOKE」(1969-70)集結後、友人のグラフィック・デザイナー横尾忠則氏とニューヨークに約1カ月滞在したときに撮影されたもの。ハーフサイズで撮影された2000枚ものカットから「アサヒカ
メラ」(1972-74)に連載されたものです。


森山大道氏自身も「Another Country in New York 」のタイトルで1974年にセルフメイドのゼロックスブックを手がけています。ニューヨークのブックコレクターでパブリッシャーのAndrew Roth氏は、このシリーズを写真集『’71 New York』(2002)に234点をセレクトし出版しています。


『狩人』(1972 「映像の現代10」)は、初期森山大道氏の傑作写真集であり、プレミアム・コレクションにセレクトされたブリジッド・バルドーのイメージの様に後年、森山ワールドのアイコニックな作品が多く掲載されています。
編目が綾なしエロティックで美しいフォルムを生み出す「タイツ-Tights」は、1980年代初期の代表作。雑誌『写真時代』に連載された「美しい写真の撮り方6 下高井戸のタイツ」からの1点。20点程のタイツの連作は、海外でも森山大道氏の80sのアイコニックな作品として知られます。


『Pretty Woman』は2017年夏にAkio Nagasawa Galleryにて展覧会と新刊写真集(900部限定)が出版された作品。ストリートスナップのモノクロームとカラーが交差する引きの光景とこれまでにない程の女性のクローズアップが都会(まち)の猥雑な空間とともにハイブリッドに織りなされている作品集です。
森山大道氏のフェティッシュな被写体でありつづけた路上を歩く女性たち。都市の過去と現在と未来の色と記憶は彼女たちによって生み出されているようです。


「街やストリートにはすべてがあります。その場所は人々の欲望が織り込まれる場所」(森山大道氏)。そしてストリートをStray Dog の如く放浪するなかに「原風景」の記憶と通底してゆく。まさに森山大道氏の写真は、記憶と欲望、無意識をめぐるハイパーな存在です。



【森山大道:プロフィール】
1938年大阪生まれ。デザイナーから転身し写真家・岩宮武二に師事。1961年写真家集団「VIVO」に参加するため上京するが解散、細江英公の助手となり数ヶ月後に『薔薇刑』の撮影、制作に参加。1963年フリーの写真家となり、66年中平卓馬と共同事務所を設立。1967年「にっぽん劇場」シリーズなどを『カメラ毎日』に連載、日本写真批評家協会新人賞を受賞。
写真同人誌『プロヴォーク』(1968-70年)で、「写真とは何か」と写真表現を突き詰めた”アレ・ブレ・ボケ”のラディカルな写真が写真界に衝撃を与え、自身の転機ともなる。1972年『狩人』、世界の写真史にその名を刻む写真集『写真よさようなら』(1972年)を発表。約10年の沈黙後、雑誌『写真時代』の連載を集成した写真集『光と影』(1982年)を発表。Hysteric Glamourが刊行した森山大道3部作『Hysteric Daido No.4, No.6, No8』(1994-97)で世界的にも人気と注目が加速する。
メトロポリタン美術館(1998)、サンフランシスコMoMA(1999)の巡回展、パリ・カルティエ現代美術財団、ロンドンのテートモダンで開催されたウィリアム・クラインとの二人展(2012-13)。ニューヨークの国際写真センター(ICP)のInfinity Award生涯功労賞を日本人として初受賞(2012年)。2016年、再びカルティエ現代美術財団で「DAIDO TOKYO」展が開催された。

(文・加藤正樹 2号館Art/ Vintage コンシェルジュ)

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