2015年8月15日

Anjinで日本最高級の「天然氷」かき氷が召し上がれます

夏の風物詩といえば、花火に、浴衣に、風鈴。そして「かき氷」ですね。




今年の夏、Anjinでは、日本のかき氷界の中の最高級の「天然氷」から生まれた「かき氷」をお召し上がり頂けます。

なぜ最高級であるかといえば、「天然氷」をもちいた「かき氷」は、21世紀の現在、日本広しといえども全国にたった5軒だけしかないためです。そのうちの3軒が「かき氷」の名産地として知られる栃木県日光にあります。Anjinの「かき氷」は、そのなかの1軒の伝統的な「氷室」で知られる「四代目 氷屋徳次郎(吉新氷室)」の手による天然水でつくられたものなのです。
そしてAnjinで召し上がって頂けるのは、日本一硬い天然水をつくりだすといわれる四代目徳次郎さんのもとAnjinのパティシエが修行し創りだした<最高級のかき氷>なので「天然氷」といってもぴんとこない方がいらっしゃるかも知れませんね。

かき氷には、大きく二つの流れがあります。「天然氷」ものと「人造氷」ものです。人造氷によるものは、都会や地方都市で暮らす私たちの多くが、子供の頃に夏になると家や近所の駄菓子屋などで食べてきたもののほとんど。明治初期に純度の低い「人造氷」が人工的に大量生産できるようになり値段も手頃になったことから、かき氷が大衆的な氷菓となりました。


一方「天然氷」は、冬の自然の寒さだけでつくられるものです。単に純度の高い自然水を凍らせたものではありません。「天然氷」づくりは、冬の間(1月〜2月限定)に奥山の美しい沢に流れる岩清水を伝統的な「氷池」に引き込むことからはじまります。日光の冬将軍で鍛えられ二週間程たつと15cmの透明な厚みの天然氷がかたちをなします。そして日々繊細に管理された後に60kgの 重さに切り出され、伝統的な保冷庫「氷室」のなかに積み上げられたまま、なんと半年ものあいだ、夏の出番になるまで保存されるのです。その間、氷全体を日 光杉のおがくずで覆い、水分の気化を遮断し、丁寧に、あたかもワインが発酵されるかのように半年も寝かされるのです。日光の光と山と水と杉。まさに日本の 自然と職人の技が結晶した氷菓なのです。


こうした「天然氷」によるかき氷は、平安時代にまで源流を遡ることができるもののようです。清少納言の枕草子に「あてなるもの」(上品なもの、良いもの)の段に、蔓草の一種である甘蔓(あまかづら)をかけて食したというくだりがあります。一服の「涼」をとるために平安貴族がもとめたものでした。

「四代目 氷屋徳次郎」+「Anjinパティシエ」仕立ての「天然氷」によるかき氷が、日本の歴史文化につながる、「あてなるもの」の「文化の遺伝子」を引き継いでいるものといえます。水の「天味」を活かしたもの。それが「四代目 氷屋徳次郎」の「かき氷」なのです。

わたしたち日本人は、「天然氷」と聞いてもぴんとこなくなってはいないでしょうか。残念なことに、「天然氷」と氷屋職人の手から生まれたかき氷からどんどん遠ざかってしまったようです。


「天然氷」仕様の「かき氷」は、もはや夏の風物詩ですらなく、<夏の文化遺産>といっていい現実になっています。しかしそれはまぎれもなく世界に誇る「日本の美味しい水」と日本人の知恵と工夫から生まれたもの。自然の氷と職人技が織りなす日本の逸品なのです。

さて、長い前口上はこれまで、さっそく「日光天然氷 苺」をオーダーしてみましょう。待っている間にAnjinにアーカイブされた美術全集やデザイン集から1冊、手許において頁を繰るのもよいでしょう。ほどなく絹雲が幾重にも重なったかのようなAnjinパティシエ仕立ての「日光天 然氷 苺」がやって来ます。

日光天然氷 苺(数量限定)
¥1200  9:00~23:00


銀のスプーンをさしこめば、新雪を掬うかのような、真綿のようなふわふわの感触に驚かされます。そして絹のような滑らかな口当たりとなんともいえない涼しい喉越し。

日光の冬の面影をたどろうとする頃には、太陽がいっぱい詰まったような福岡県産「あまおう」の濃厚な甘みが追いかけてきます。盆に添えられた練乳は、和三盆糖を丹念に練り上げた自家製のもの。雑味がなく上品な甘さは、冬将軍と夏苺をみごとに和ませます。

もう一品、「日光天然氷 抹茶」は、枕草子の「あてなるもの」そのものです。

京都・柳桜園の抹茶のシロップは、抹茶の深い香りと鮮やかな色を演出しているだけでなく、「天然氷」と掛け合わせることによって日本最上級の上品な抹茶のおいしさがそのまま表現されています。まさに「雅味」ここにあり。


日光天然氷 抹茶(数量限定)
¥1300  9:00~23:00
                 
 
そしてたっぷりはいったなんとも柔らかい自家製の中納言小豆がいっそう「雅味」を引き立てたてます。古事記に記され、縄文の世から日本に自生していた小豆とかき氷との相性は、和三盆糖を連れ「天然氷」において極まります。




「四代目 氷屋徳次郎」のかき氷を賞味しながら、1冊の写真集をめくってみるのもよいでしょう。
代々つづく氷屋職人の伝統技と、現代の若手フォトグラファーの清水はるみ氏の知的写真術。片や静寂の中を流れる自然の水を氷池に引き込んで天然に凍らせたもの。片やアイスランドの風物を撮影し”瞬間冷凍”させ、東京の冷凍庫の中で再び凍らせる。凍った塊の「天然氷」を絹のようにフラットに幾重にもスライスしていくのに対して、冷凍庫で凍らせたプリントを再撮影し、再び自然光の中に戻していく。見る者の視覚のなかで柔らかく解凍していくのだ。視覚で「食べ」ていく感じかもしれない。それは眺めては口許にはこぶ、色も鮮やかな「四代目 氷屋徳次郎」のかき氷とどこか似ているような感じがしよう。濃厚なところもあればあっさりしたところもある。



フォトグラファー清水はるみ氏の第一作品集『OPEN FRUIT IS GOD』は、新宿御苑前PlaceMで開催された「Icedland(アイスドランド)」写真展に併せて制作されたもの。

本作品集には別の仕掛けがほどこされている。タイトルは本書にも収録されている冷蔵庫の写真の扉に、偶然組み合わされたワードパズルの文字群から任意に選んだもの。写真行為や写真集制作そのものにもある「意図」「遊戯性」「偶然」の要素が、イメージの行間に編み込まれ、写真集を「読む」面白さに出会える。

自由に連想すれば、天然氷の「氷室」は、写真でいえば「暗室」。絹のような氷掻きは、写真でいえばプリント作業…..。白い入道雲の上にたなびく絹雲のような繊細な盛りつけは、写真の選定の妙味とセンスよろしき造本とデザイニング….。

そんなことをつらつらと思いめぐらしているうちに、「四代目 氷屋徳次郎」のあっぱれな逸品「かき氷」は、なんとも言葉ではいいあらわせない「涼」をおくり届けてくれるのでした。


清水はるみプリント作品(書籍には含まれません。)

真夏に日光から送り届けられた最上級の麗しい<冬の面影>をぜひご堪能下さい。
お二人で一緒にお召し上がるのも、ここでしか味わえないまたとない<自然氷の天味>を分かち合えて、とてもお薦めです。

アートコンシェルジュ 加藤 正樹

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