2014年2月6日

「旅人応援プロジェクト」 グラフィックデザイナー西山勲の旅 vol2

”代官山蔦屋書店、旅行の「旅人応援プロジェクト」”
実際に旅を始める人、している人を、当店を通じてたくさんの人に知っていただくこと。
それが私たちの考える「応援」の第一歩だと思っています。

「旅人応援プロジェクト」第一弾は「グラフィックデザイナー西山勲の、
世界のアーティストを訪ね、彼らの日常をドキュメントする旅。
彼の旅をこのブログを通じて皆さんにお伝えしていきます。
彼の出発の地は、アメリカ西海岸。2013年7月、ここから西山勲の世界一周の旅が始まりました。


vol.1ではオークランドで出会ったアンドリューとのエピソードでしたが、
今回vol.2ではどんな人に出会ったのでしょうか。
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<旅人応援プロジェクト グラフィックデザイナー西山勲の旅>
 vol.2
~ サンフランシスコ・ダウンタウンTOBIAS TOVERA(トバイアス・トヴェラ)~


サンフランシスコ・ミッション地区に住まいを変えた僕らは、
アーティストとの出会いを求めて、個展やグループ展の情報を聞きつけては
方々のギャラリーで開催されるオープニングパーティをはしごするようになりました。
週末になるとサンフランシスコ中のギャラリーでは、華やかなレセプションが開催され、
そこにはアーティスト本人が出席することが多いからです。

8月2日、サンフランシスコのダウンタウンにある111Mina Galleryというカフェに併設された
ギャラリーで開催されたTobias Tovera(トバイアス・トヴェラ)というアーティストのオープニングレセプションに
行ってみることにしました。
会場にはオークランドでは見なかった、
お洒落で感度の高そうなシティボーイたちで溢れ、
旅人スタイルの僕らは完全に浮いていたと思います。

ファッションデザイナーのAbbey Glass(アビー・グラス)、そしてミュージシャンTim Carr(ティム・カー)とのコラボレーションなるショーは華やかで圧倒的。



ショーが終りたくさんのオーディエンスに囲まれる
トバイアスへは近寄りがたいオーラがありましたが、2杯目のビールを流し込み、人ごみをかき分け取材のオファーを敢行しました。


持っていたknockを見せ、自分のプロジェクトを一通り説明した後、

「ぜひともスタジオへお邪魔させてもらえないか」

と断られる事を覚悟のうえ聞いてみると

「いいね!もちろん構わないよ。こちらこそぜひ!」

という拍子抜けするような快諾を得た。

それから会場を後にし、どう帰ったかは嬉しさのあまり覚えていない。
兎にも角にも、最初の取材が決定しました。






ショーから約1週間後、メールでのやり取りの後、いよいよトバイアスのスタジオへ取材に出掛けました。
自転車に乗って向かったのはサンフランシスコ・イーストベイ、地元野球チームであるジャイアンツ球場のすぐ近く。初めての取材ということで、とにかく緊張していた僕は必至でシャッターを切りながら、彼が制作する姿を見つめました。
夕暮れ時だったこともあり、ストロボを使わない僕はスタジオの暗さにやや不安を感じましたが、
しんとしたスタジオでカンバスに向き合う彼の姿に、ただただ美しさを感じました。

knockではこのとき感じた凛とした空気感や窓から差し込むわずかな光を表現できれば幸せです。

*Studio Journal knock issue2「CALIFORNIA」発売中
 



■旅人プロフィール
西山勲(にしやまいさお)
1977年生まれ福岡県出身のグラフィックデザイナー。2013年5月、世界のアーティストを訪ね、彼らの日常をドキュメントするビジュアルジャーナル「Studio Journal knock」を創刊。同年7月仕事を一時休止し、アメリカ西海岸を出発点に世界一周の旅に出掛けている。Webやソーシャルメディアでのアポイント、現地のコーディネーターや地元のギャラリー周辺のつながりなどを頼りに、アーティストに取材交渉を行い彼らのスタジオや自宅に足を踏み入れていく。時には自前の寝袋で自宅に泊めてもらい、アーティストと一緒にショートトリップに出かけるなど、体当たりの取材方法でアーティストとの距離を縮めていき、彼らの生み出すクリエイションの源流を探る。さらに「Studio Journal knock」は、現地で取材・撮影・編集・デザインすべての制作工程を西山自身が一人で行い、旅先より発行される。言語は日本語と英語のバイリンガル仕様、限定1,000部。


創刊号「BANGKOK, HUA HIN-THAILAND」では、青いシェアハウスで三匹の猫と暮らすペインターや、性のタブーに挑み続ける写真家、嫉妬に狂うガールフレンドから身を隠すコミックアーティスト、成功を収め次のステージを見つめる現代美術家知られざるタイ・アートシーンの中で、たくましく生きるアーティストたちをフィーチャーしている。