2017年2月28日

及川の部屋Vol.2『ヨーロッパジャズの魅力』


さて、第2回はヨーロッパのジャズをご紹介しましょう。
実は代官山 蔦屋書店では、本場アメリカジャズ同様にヨーロッパ系のジャズが人気なんです。
私自身も、その美しさに魅了されるうちのひとり。

本場アメリカは当然ながらブラック色が強く、グルーヴィーでハイテンション、ジャズのインプロヴィゼーションの醍醐味を芸術性と大衆性の両面で表現します。

一方、ヨーロッパはクラシックの土壌から生まれたジャズとも言えるので、美しいメロディーとサウンドへの追求が感じられる曲が多いように思います。
そういった背景から、日本人にとって聴きやすく、馴染みやすい曲が多いのではないでしょうか。

私の考える"ヨーロッパジャズ"。
それは景色が聴こえてくるところ。
行ったことがなくても、聴きながら目を閉じれば、ヨーロッパの大地に広がる木々や景色が見えてくるような心地よさを感じます。
そこから広がる景色の妄想を、風船のように膨らませてくれる、それがヨーロッパのジャズ。そんなところでしょうか。

抒情的で印象的。
曲にはストーリーがあり、その音色は水彩画よりも力強く、油彩画よりも淡い絵画のよう。
気取らず、無理なく聴けて、想像力を解放してくれます。

ジャズって入り込みにくい。とか、何から聴いていいか分からない。そんな声をよく聞きますが、そういう方へこそおすすめしたいです。

ということで、今回選んだのはこちらの2枚。

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■スウェーデンのE.S.T(Esbjorn Svensson Trio)『Est Live』(左)
エスビョルン・スヴェンソン・トリオという、なかなか覚えにくいグループ名のこの3人組は、スウェーデン発のピアノトリオ。
彼らはジャズを基調としながらも、エレクトロニカやロックの要素を大胆に取り入れていて、全く新しい音楽世界を築いたといわれるほど、斬新な音楽を生み出しました。
こちらは90年代ジャズ・シーンを疾走し、2008年、スヴェンソンの事故死まで伝説を作り続けたピアノ・トリオのライヴ盤。